選挙解体新書

選挙の役に立つ研究・分析を紹介します。

小池新党はSNSを制限したのか?音喜多議員のブログで検証してみた

※追記

この記事に関して、音喜多議員本人からレスポンスをいただきました。

ありがとうございます。

 

 -----記事ここから------

 東京都知事の小池百合子氏。地域政党「都民ファースト」を創設し、都議会第1党とする快挙を成し遂げたかと思うと、つぎは国政政党「希望の党」を結党し世間を大きく驚かせています。

https://pbs.twimg.com/profile_images/754526746716676099/CjjisH33.jpg

都民ファ議員のSNSは統制下にあるのか

 

 希望の党が、どれくらい国政へ議員を送り出すかわかりませんが、先日行われた都議選で大量に新人都議を生み出した都民ファーストに関しては、興味深い報道があります。都民ファの議員は、都議選後、情報発信が制限されているという報道です。

 

小池百合子・東京都知事が事実上率いる地域政党「都民ファーストの会」が所属議員に対し、ブログやツイッターなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で発信できる情報を制限したり、個々の判断で報道機関などの取材に応じることを禁じたりする内容の通達を出していたことがわかった。

都民ファ、SNSなど発言制限…議員から不満も : 小池都政 : 読売詳報_緊急特集グループ : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

 

 都民ファーストの元幹事長で、ブロガー議員として知られる音喜多駿議員は都議選後もほぼ毎日ブログを更新し続けています。ですので、都民ファーストといえども、完全にSNSを禁止しているわけではありません。しかし、その内容に関しては都議選後「つまらなくなった」との指摘があります。

 

煽るようなことは今の段階では少々迷惑かも知れないが、この調子だと音喜多さんの折角の発信力が錆びついてしまいそうなので、苦言を呈しておく。

自制すべからず。

もっと自由奔放に、本当のことを発信されたらいい。情報公開の神様のような音喜多さんが何か自己規制をしているようで、気の毒にさえ感じる。

音喜多さんのブログが急につまらなくなっているぞ – アゴラ

 

 本当に都議選前後で都民ファースト議員の情報発信は制限されているのでしょうか。本エントリーでは、音喜多議員のブログ内容を分析し、都議選前後で情報発信の量と質が変化しているかを検証したいと思います。

都議選後、記事の文字数は少なくなった。

 

 比較したのは、都議選後のの2017年8月の記事と、その一年前の2016年8月の記事です。このような前年同月比較にしたのは、季節による記事内容の違い(本会議、委員会、休暇、夏祭り、選挙等)を考慮するためです。

 

 まずは、記事の長さです。記事の長さは、都議選後、明らかに短くなっていました。平均すると、都議選前の2016年が一記事あたり1902文字だったのに対して、都議選後2017年が1392文字です。これは30%近くも減少していることになります。(中央値でもほぼ同じ)

都議選後に増えた単語・減った単語。

  

 では記事の中身はどう変化しているでしょうか。記事の内容の大まかな傾向を掴むために、テキストマイニングを行ってみました。利用したのは、User Localのテキストマイニングツールです。(なお、休暇で家族旅行に行かれていた際の記事は分析から外しました)

 

 早速結果です。以下が2016年8月と2017年8月の頻出単語です。

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 2016年に多く、都議選後の2017年に少なくなっている単語として、「築地」「移転」「豊洲」「自民党」など築地移転問題に関係する単語が挙げられます。また「知事」への言及が、都議選後の2017年に少なくなっているのも興味深いです。

 

 逆に、都議選後の2017年に増えた単語しては、「子ども」「委員会」「ファースト」などです。「子供」への言及は、受動喫煙で子供に対する影響を懸念されているほか、2017年の記事では家族(子供)を紹介する記事が増えたことにあるかもしれません。  

2017年の記事は内容が拡散した?

 

 また頻出単語の頻度分布も興味深い結果を示しています。

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 2016年の記事では、単語の頻度分布がシャープな形をしているのに対して、2017年の記事はなだらかな形をしています。つまり、2016年の記事では築地問題に関連する単語が集中していたのに対して、2017年の記事は色々なテーマの単語が満遍なく出ているという解釈ができます。

都議選後、記事はつまらなくなったのか?

 

 都議選後、ブログの記事が短くなり、内容も変化したことがわかりました。果たして、この変化は、“つまらなくなった”と言えるのでしょうか。しかし、ブログの面白さを客観的に評価するの難しい試みです。

 

 ここでは、各記事のフェイスブックのいいね!数を面白さの指標として、2016年と2017年を比べてみようと思います。

 

 以下がいいね!数の比較です。

 

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 2016年8月のブログに比べて、都議選後の2017年8月のブログでは大幅にいいね!数が減っています。中央値の比較ですと、2016年の記事が516に対して、2017年の記事は203です。さらに、2016年の場合、1000いいね!以上のバス記事が8つあるのに対して、2017年はゼロでした。

 

 この結果は、少なくともフェイスブックユーザー目線では、音喜多議員のブログは当選後に“つまらなくなった”といえるでしょう。たしかに、分析した記事を全て読んだ感想としては、都議選前の記事では政策や政治に関する舌鋒鋭い記事が多かったのに対し、都議選後の記事では軽い話題が増えたように感じました。また、出演したテレビに関する言及が都議選前は多くあったのに対して、都議選後には無くなっていました。

小池新党の影響かどうかは不明

 

 まとめです。本エントリーの分析結果は、都議選前の2016年8月と、都議選後の2017年8月の音喜多議員のブログ内容が変化していることを示しています。そして、それは一部報道にあったようように、記事の内容が「制限」されているようにも見えます。

 

 しかしこの変化が、都民ファースト執行部がSNSでの発信を制限したことによるものかどうかはわかりません。もしかすると、去年に比べ、音喜多議員が多忙になった結果、ブログでの情報発信の量と質が低下しているだけかもしれません。今後、他の都民ファーストや希望の党の議員でも、SNSでの情報発信の量と質が変化しているかを検証しつづける必要があると思います。議員にとって、情報発信は大事な仕事なはずですから。

 

 いずれにせよ、このような分析が可能だったのは、音喜多議員がブログでほぼ毎日、発信を続けているおかげです。このような素晴らしい取り組みを、都民ファーストだけでなく、他の政党の議員も行ってくれることを願っています。

 

東京都の闇を暴く (新潮新書)

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