選挙解体新書

選挙の役に立つ研究・分析を紹介します。

選挙に負けると支持者の男性ホルモン量が低下してしまう

 

 選挙は戦いだ。誰かが勝てば、誰かが負ける。生物を広く見渡すと、他の個体と争うのは多くの場合、オスだ。そして、争いに勝ったオスはテストステロン(男性ホルモンのひとつ)量が大きく増加し、負けたオスは低下することが、様々な生物で知られている。争いに負けたオスは、ホルモンレベルで負け犬になるのだ。

 

 デューク大学の研究者らは、選挙においては負けた政治家本人だけでなく、その政治家に投票した有権者すらも、ホルモンレベルで“負け”ることを発見した。投票した候補者が落選すると、支持者のテストステロン濃度が急速に低下したのだ。

 

選挙結果がホルモン濃度を変化させるか?

 

 2008年に行われた大統領選挙はオバマ氏とマケイン氏らによる戦いで、結果はご存知の通りオバマ氏の勝利だった。

 

 研究者らは、オバマ氏に投票した人とマケイン氏らに投票した人183人の被験者を対象に、選挙結果発表直後の唾液中のテストステロン濃度を測定した。自分が投票した候補の勝敗で、支持者のテストステロンが変化するかどうかを調べたのだ。

 

 被験者の中には男性と女性も含まれていた。なぜなら、研究者らの仮説では、男性の支持者のみがテストステロン(男性ホルモン)を変化させ、女性の支持者では変化しないはずだと考えたからだ。

 

マケイン支持者はテストステロンが低下した

 

 【上図】

 8時に選挙結果が発表されるとすぐに変化が現れた。負けたマケイン氏らに投票した人は、結果発表直後から40分後にかけてテストステロンが急速に低下したのに対し、オバマ氏に投票した人は変化しなかったのだ。負けた政治家に投票した人は、ホルモンレベルで“負けた”ように感じているようだ。

 

 【下図】

 一方、女性に関してはそのような変化は現れなかった。自分が投票した人が負けても勝っても、ホルモンレベルは一定のままだった。研究者らの予測通りと言える。

 

他人の勝利を「体感」する

 

 選挙に投票した人は、自らが争いに参加したわけではないのに、勝ち負けを“体感”し、ホルモンレベルを変化させているようだ。

 

 これと同じ現象は、サッカーの観戦者でも知られている。応援しているチームが勝つとサポーターの男性ホルモン濃度が上昇し、負けると減少するのだ。

 

 おそらく、選挙の支持者でも、同じようなことが起きているのだろう。

 

 

男性ホルモンが変わるとどうなるか?

 

 競争に勝ち男性ホルモン濃度が増加した人は次の闘争にも参加しやすくなり、一方で負けた人は競争に参加するのを控える傾向があることが知られている。

 

 研究者らは、選挙に“負けた”ことによって男性ホルモン濃度が低下した人は、その後の行動が変化していたのではないかと推測している。もしかすると、この日、マケイン支持者では、賭け事やスポーツ、喧嘩など競争的な行動が低下していたかもしれない。

 

 

参考記事

Dominance, Politics, and Physiology: Voters' Testosterone Changes on the Night of the 2008 United States Presidential Election