選挙解体新書

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都議選、劣勢の自民党をさらなる窮地に追い込む意外な要因

 

 7月の都議会議員選挙に向け、劣勢が伝えられる自民党。先月には前回の選挙で協力していた公明党都民ファーストの会を支援することを発表し、ますます危機感を募らせているようだ。

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 前回2013年の選挙で得票を大きく増やした自民党都議団は、このまま議席を減らしてしまうのだろうか。自民党東京都連会長の下村博文幹事長代行は、都政に選挙戦に向け、都民ファーストの会を「烏合の集」だと評し、敵対姿勢を強めている。

【東京都議選】自民・下村博文都連会長「都民ファーストは烏合の衆」と批判 - 産経ニュース

 

 ところで、自民党の最大の懸念要因は、都民ファースト(と選挙協力する公明党)だけなのだろうか。

 

今回、1985年以来過去8回の都議会議員選挙データを分析することで、全く別の要因が、7月の都議選での自民党の敗北に拍車をかける可能性があることがわかった。

 

 

それは「投票率」である。

 

 

自民党都議団は投票率が上がると議席を減らす

 

過去の統計というものは動かない。

僕は経験のほかに、統計というものを重視する。

 

第64・65代内閣総理大臣 田中角栄

 

1985年以来過去8回の都議会議員選挙データを分析すると、投票率の増減と自民党の獲得議席の増減に一定の相関関係があることが判明した。

 

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横軸は、ある年の選挙で、前回の選挙に比べてどれくらい投票率が増減したのかを示している。縦軸は、ある年の選挙で、前回の選挙に比べてどれくらい自民党の獲得議席が増減したのかを示している。

 

データは8点しかないが、傾向は一目瞭然だ。

 

投票率が増加した選挙では、自民党議席を減らす。

投票率が減少した選挙では、自民党議席を増やす。

 

 

投票率が高いと、自民党議席数は減る傾向があるのだ。

 

 

次回の都議選では投票率は大きく上がる

 

選挙戦に向けて、各政党は、投票率が大幅に上昇する」という一致した予測を持っているようだ。「対小池知事」揺れる戦略 都議選、投票率上昇の予想 :日本経済新聞

 

 今回の分析がある程度正しいとすると、投票率が大幅に上がることはそれだけで自民党候補者にとって逆風になる。

 

 ただでさえ、各種世論調査都民ファーストの支持拡大を伝えている。これに加え次回の選挙で投票率が増加すると、都民ファースト躍進と投票率増加のダブルパンチによって、自民党は大打撃を受ける可能性が非常に高い。

 

 

なぜ自民党投票率が上がると議席を失うのか。

 

この分析は、単純な相関関係を見たものなので、投票率があがると自民党議席を失う理由は分析からはわからない。

 

 しかし、その理由を推定することは可能だ。

 

 都議選において自民党は、常に一定の票をコンスタントに集めているようだ。そして投票率が上がった時の選挙では、これまで投票に行かなかった層の多くが、非自民党の政党に投票しているようである。

 

 例えば、投票率が大幅に上がって自民党議席を大きく減らした2009年の都議会議員選挙の結果をみてみよう(自民党から民主党への政権交代の直前に行われた選挙である)。

 

 実はこの年の選挙でも、自民党の獲得票数自体は減っていないのだ。

 

 しかし、投票率が上昇している分の票を民主党が吸収したため、相対的に自民党への投票割合が減り、獲得議席を大きく減らしたようである。

 

 

自民党はどうするべきなのか。

さて、投票率の増加と都民ファーストの会の躍進という2つの敵に挟まれた自民党は、どうすれば都議選を少ない被害で生き残ることができるだろうか。

 

当然ながら、投票率を下げるための選挙活動は、民主主義の理念に反するため展開できない。

 

自民党ができる最大の選挙戦略は、今持っている資金や人的資源リソースを、適切な選挙区へ分配し、撤退戦をうまく戦うことではないだろうか。この場合、適切な選挙区とは、リソースを投入することで自民党候補者が当選ラインを超えそうな選挙区を順位付けしたときの上位の選挙区である。

 

次の都議選に関する記事では、自民党が撤退戦を戦う上で、どの選挙区が大事であるかを、過去の選挙データを分析することで推定してみたいと思う。

 

 

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