選挙解体新書

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公明党との選挙協力で都民ファーストは攻守最強になった

 

先月、都民ファーストの会は6月に行われる都議会議員選挙で公明党選挙協力を行うことを発表した。

選挙協力へ“小池新党”と公明党が政策合意|日テレNEWS24

 

この選挙協力は、都民ファーストにとって、攻めと守りを兼ね備えた重要な一手であると言えよう。

 

攻め:ライバル自民党の票を減らす

 公明党との選挙協力を失った自民党は前回の選挙よりも得票利を大きく減らすだろう。

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 前回の記事で行った推定によると、2013年の都議会議員選挙のとき、特に影響が大きいと考えられる11の選挙区では、自民党の総得票数25万8212票のうち、公明党支持者による票は9万5066票だった。単純に考えると、自民党は、この9.5万票を失うことになる。割合でいうと、実に36.8%である。

 

都民ファーストの会は、選挙協力によって、これら公明票の大部分を獲得すると考えられる。

 

 

 

守り:浮動票のリスクコントロール

 

 選挙に関わる者にとって、無党派層による浮動票は畏れる存在である。自分の味方についてくれれば、どんなに大きな政党であっても打ち倒すほどの力があるが、敵に回すとこれほど恐ろしい者はない。しかし、投票率によって浮動票の効果は変化してしまうため、浮動票に頼る選挙はリスクが大きい。

 

 都民ファーストの会は、今回の選挙でできた新しい政党であるため、無党派層の中の支持率は他の政党よりも大きいはずだ。なので、無党派層の選挙への関心が高まり投票率が上昇することは、都民ファーストの会にとって有利に働くだろう。

 

 

 しかし、無党派層の支持は流動的であり、投票率が当日の天気など様々な外的要因によって低くなる場合には無党派層からの得票が減少する可能性がある。つまり都民ファーストは、現在のところ極めて有利に選挙戦を展開しているが、無党派層が支持基盤であるため、一定のリスクを抱えていると言える。

 

 

公明党との選挙協力は、このリスクを減らす重要な役割を持っている。

 

 

公明党は低投票率に強い

 

 公明党の支持層は極めて組織化されており、その投票数は安定している。選挙区全体の投票率が高かろうと低かろうと、公明党の支持層からは一定の投票数が高い確度で予想できるのだ。

 

 この状況は逆に言うと、全体の投票率が低いとき公明党の票は存在感を増すこととなる。

 

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 公明党の票は、投票率に関わらず一定であるため、低投票率には強い効果を持つようになるのだ。

 

 

 つまり、都民ファーストの会は、公明党との選挙協力によって、

投票率が低くなった場合の保険を手に入れたことになる。

 

 全体の投票率が高い場合には無党派層からの得票が期待できる。一方、投票率が低くなった場合には無党派層からの得票は少なくなるが、公明党からの支援の効果が強くなる。このようにリスクコントロールをしていると言えよう。

 

 まとめると、都民ファーストの会は、公明党選挙協力することによって、

 

攻め:ライバル自民党の票を奪い、得票を増やす

守り:投票率という不確定要素のリスクヘッジとなる

 

 

というふたつのメリットを手に入れたことになる。

選挙戦略上、素晴らしい判断といえるかもいえよう。

 

 

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